先生紹介

小嶋華津子

 
  今年の春慶應に赴任し、縁に導かれてやってきた9名とともに、ゼミをスタートいたしました。他のゼ ミは何をしているのか、どのような係があるのか―すべて1から勉強しながらのスタートでしたが、10名 が協力して進めてきました。物事をまっすぐに見る人、斜めに見る人、情熱的な人、慎重な人、楽観的な人、悲観的な人―一人ひとりの個性が調和し、居心地の よいゼミができてきたように思います。調和のなかで、それぞれが最大限に個性を発揮できる空気を、これからも大事にしたいと思います。

私のゼミは、現代中国の政治・外交を研究対象とし ています。国際社会における中国の台頭にともない、巷 には、様々な中国論があふれています。世界第二の経済大国として世界経済を支える中国。ナショナリズムを喚起し、強硬な資源外交に邁進する、国際レジーム の破壊者としての中国。とりわけ、歴史問題や領土をめぐる衝突をかかえる日本の中国論は、ともすれば感情的になり、自己肯定のためのイメージ論に陥りがち です。こうしたイメージ論とは一線を画する立場から、中国の内的ロジックを理解し、しなやかで実の得られる日中関係のあり方を考える―それが、知者の役割 だといえるでしょう。 

一つの国や地域を理解するのは、簡単なことではあ りません。と くに中国の場合、中国共産党の言論統制が依然として厳しく、国内メディアの報道は、多かれ少なかれプロパガンダとしての性格を有しています。中国を動かす 巨大組織―中国共産党の内部の指導系統すら、多くがブラックボックスであり、断片的な報道から類推するよりほかありません。このような状況のなかで、現場 の内実にアクセスし、問題の構造をとらえるには、中国国内の資料・メディア報道の行間を読みとく読解力、現地の人々との交流や実地調査をつうじて現場の感 覚をとらえる感受性、中国共産党史観や公式見解に縛られない自由な発想で、現在に至る歴史を再編していく発想力が求められます。それは、実に緊張感に満ち た、わくわくする作業です。ゼミの活動をつうじ、その知的作業のおもしろさを感じていただけたらと思います。

また、こうした作業によって培われる力は、何も中 国研究にのみ必要なのではありません。今日、われわれが直面している社会問題は、いずれも権力 構造のなかにあります。権力構造を見据え、問題の本質に迫る姿勢は、必ずや社会人として生きていくさいの基盤となるでしょう。中国の将来、日本の将来、世 界の将来を、いっしょに考えていきましょう。



主要業績


ゼミ員紹介


第二期生:16名

  押手順一(内ゼミ代表)

  高見知可(外ゼミ代表 ゼミナール委員会)

  葉倩馨(外ゼミ代表 渉外)

  土堂駿介(入ゼミ)

  伊藤千尋(入ゼミ)

  鎌田尚之(三田論)

  辻村菫(三田論)

  羽場舜介(三田論)

  山本純也(三田論)

  岩沢拓哉(合宿)

  村田泰博(合宿)

  佐伯慶新(合宿)

  林康弘(ソフトボール)

  小林哲也(企画)

  安田仁美(企画)

  津山麻衣(WEB)



第三期生:13名

  本田優樹(内ゼミ代表)

  野村安崇(外ゼミ代表)

  石田嵩英(入ゼミ)

  小幡健人(入ゼミ)

  高平愛(三田論)

  水澤拓也(三田論)

  水落達哉(三田論 ソフトボール)

  正岡拓也(三田論 WEB)

  早川裕(合宿)

  桧山歩夏(合宿)

  榎本旭(企画)

  薛天成(企画)

  萩原桂菜(OB・OG)